湘南江ノ島
〜神奈川県藤沢市・鎌倉市 湘南海岸〜
2012年11月〜2013年1月
★湘南の宝石 江ノ島シーキャンドルライトアップ編
湘南の宝石 シーキャンドルライトアップ2012-2013
〜サムエル・コッキング苑〜
さて、今回のお目当ては光のイベント、数万個のLEDによるクリスマスイルミネーションです。
エスカーで上ってくるとサムエル・コッキング苑前に出ます。
正面に券売所と入口があり、左側には亀ヶ岡広場があります。
アフタヌーンパスを買われた方は忘れずにエスカー券売所でチケットをもらって下さい。
亀ヶ岡広場のクリスマスイルミネーション。
関東三大イルミネーションに認定されたからか、それとも広く整備されたからか、
今年はこちらもLEDで華やかに飾られました。
ではサムエル・コッキング苑に入ります。
入ってすぐに三日月を象ったモニュメントのイルミネーション。
キャンドル・ナイトの時にシーキャンドル横の特設ステージ前に置いてあった木製の台を使っています。
入ってすぐ左側にある、昆明広場(春澤園)のイルミネーション。
昆明広場は中国雲南省の昆明市と藤沢市が1981年11月5日に友好都市となった記念に造られた庭園。
中国の国歌「義勇軍進行曲」を作曲した昆明出身の青年作曲家「聶耳」が1935年鵠沼海岸で游泳中に水死、
藤沢市民有志が鵠沼海岸に記念碑を設立したことがきっかけで友好都市となったそうです。
昆明広場建設にあたって昆明市からはるばる職人が来日して建てたそうで、
本格的な中国伝統建築様式の四阿(あずまや)騁碧亭(ていへきてい)と昆明碑記、
孔雀のブロンズ像「吉祥永駐」などがあります。
入って正面にあるコッキング遺構のイルミネーション。
奥の建物はフレンチトーストのRON
CAFE。
サムエル・コッキング苑は横浜に住んでいたアイルランド人貿易商のサムエル・コッキングが
1880年(明治13年)に江島神社の元となった金亀山与願寺の菜園敷地3800坪を買収して造った植物園。
当時としては類を見ない地下ボイラーによる温室を構築し、様々な植物が栽培されていたようです。
存在しているものとしては日本で3番目に古い由緒ある植物園でしたが1923年の関東大震災などにより荒廃。
その後20年以上経った1947年に江ノ島を含む片瀬町が鎌倉市から藤沢市に編入されたのを契機に
藤沢市は観光目的で江ノ島開発に乗り出し、この場に「藤沢市立江ノ島熱帯植物園」を設立。
翌年「江ノ島植物園」と改名し運営を続けたのちに2002年(平成14年)に改修工事の為に一旦閉園。
この時の工事で縄文土器類1万点が出土し、さらに調べたところコッキング温室遺構が発見されました。
大震災から79年後の事です。
何故?という疑問もありますが、たぶん大震災で施設は完全に倒壊していて荒廃、
江ノ島植物園を造る時に瓦礫を撤去してその上に土を入れて植物園を造ったんじゃないでしょうか。
当時は大震災の被害で建物の倒壊瓦礫などは山ほどあったでしょうから、
そこに何があったかなど気にする事もなく撤去し構築したのでしょう。
それが再整備の際に掘ったら出てきたと。
当時の大震災の被害状況について調べたところ、震災直後の鎌倉市内の写真多数と
被害状況を展示しておられるサイト様を発見しましたのでご紹介します。
e-ざ鎌倉・ITタウン様
こちらの「読み物等」のところにある「知られざる鎌倉探索」の項に
震災直後の鎌倉市内の詳細な被害状況と写真が展示してあります。
大仏が地震で前後に移動した状況写真まで。
大変貴重かつ興味深いのでご覧になることをお薦めします。
江ノ島の村の被害状況は比較的軽微なれど津波で橋を失って困窮している、との事です。
残念ながら江ノ島における倒壊家屋や人的被害の詳細、島内の写真はありません。
比較的軽微と言っても島自体が2mも隆起していますし、津波被害もあった事かと思います。
今ある島東部ヨットハーバー方面は1962年に埋め立てられてできたようで、そちらは当時ありませんでした。
こんな大変な状況下では倒壊した温室にかまっていられるとも思えませんね。
状況としてはおそらくそんな経緯だったのではないかと。
開園が1882年の事ですから2013年現在、131年前の遺構という事になります。
現在は地下のレンガ造りのボイラーや貯水池、石炭庫などが保存されています。
イルミネーションからはちょっと脱線しますがご覧下さい。
内部は非公開で見学できませんが、たまに一般解放され見学できるようです。
私は特に史跡に興味があるというわけではありませんが、
機会があれば中を見学してみたいと思います。
どうでもいいですが、看板はなぜしゃがんで撮らないのかと…。
このように帰ってから思う事もしばしば。
−−−−
では、戻ります。
コッキング苑奥にあるフレンチトーストのお店「RON
CAFE(ロンカフェ)」とマイアミ広場。
マイアミ広場は1959年に米国フロリダ州マイアミビーチ市と姉妹都市提携をしたのを記念して作られました。
藤沢市は湘南を東洋のマイアミビーチとしています。
南国リゾート風のイメージからしてそんな感じですね。
コッキング遺構内のイルミネーション。
2万個のスワロフスキーによる光のトンネル。
スワロフスキーというのはオーストリアのガラス会社のようです。
そこが製造したカッティング・クリスタルガラスをそう呼ぶようで、
酸化鉛を30%以上含んだクリスタルガラスは様々な輝きの色を表現します。
要はシャンデリアなどに使われているカットされたクリスタルガラスと同じようなものを使って
LEDと一緒にアーチ状にデコレーションしたのがこのトンネルのようです。
私の腕がまずいのでうまく表現しきれていませんが、
歩くと光の反射が変わってキラキラととてもきれいに輝きます。
光のタワーとなった江ノ島展望灯台シーキャンドル。
完全な夜よりも日没後の点灯した瞬間の頃、マジックアワーが一番映えるようです。
次回はその辺を狙って撮ろうと。
右下の2枚は2013年1月2日に撮ったものですが、とんでもない暴風により
LEDが揺れまくってます。
海抜60mのここに雨ではなく海の波飛沫が降ってくるほどの暴風です。
ちょっとカメラを上に構えると即レンズに飛沫がつくので撮影に困りましたね。
元々江ノ島に灯台は無かったのですが、1951年(昭和26年)に読売遊園(後の二子玉川園)にあった
旧日本軍の落下傘塔(パラシュート降下訓練塔)を江の島植物園内に移築し、
「読売平和塔」という展望台を兼ねた民間の江の島灯台を建設したのが始まりです。
それも長年の使用で老朽化したため建て直される事となり、2003年に建築されたのが現在の
江ノ島展望灯台シーキャンドルです。
所有者は江ノ島電鉄です。
旧灯台は取り壊された為にもう残っていませんが、シーキャンドル基部の1F奥に「郷土資料室」が作られ、
そこに当時の灯台の模型や使用していたライトが展示されています。
内部左奥の奥まった所にあるのでちょっと探してみて下さい。
喫茶店の裏側になります。
シーキャンドル基部にあるワッフルの喫茶店「Cafe du
GABO」(カフェ ド
ガボ)
こちらも撮影に夢中で今まで一度も入った事がなかったですね。
というか写真撮ってばかりで江ノ島グルメチェックは全然やってなかった事に今気づく羊(汗)
江ノ島好きを自称していながらなんという体たらく。
駐屯地祭や航空祭なんかも写真撮っていると基地祭そのものを楽しめないと言われますが、
なるほど、こういう事ですな…。
江ノ島には何度も来ているくせに本来の意味での楽しむ事をしていなかったようです。
ちょっと軽いショックを受けました。 大反省。
次回お邪魔してみようと思います。
フルーツワッフル、ハムチーズワッフルがおいしそうです。
保寧(ポリョン)広場から見たシーキャンドル。
韓国の保寧市と2002年に姉妹都市提携をしたのを記念して造られた広場。
それにしても江ノ島は色んな所と提携してますね。
シーキャンドル屋上展望台の夜景。
2本立っている器具は有料双眼鏡です。
これにカメラ押しつけたらランドマークタワー撮れるかな…?
安全の為、強風の時は屋上展望台は閉鎖されてしまう場合がありますので
その際は入口で確認して下さい。
帽子などは飛ばされないようご注意を。
なお、写真ではあまり人が写っていませんが、来場者が少ないわけではありません。
なるべく人がいない瞬間をひたすら待って撮っているからであり、場内は大変な数の来場者でかなり混雑しています。
日中なら多くの人々が写ってても差し支えありませんが、
露光時間のある夜景撮影では露光中に人がみな動いてしまうので、スゴイ心霊写真みたいになってしまいます(^^;)
そんな写真を撮るのも展示するのもちょっとアレなので…(汗)
そういうわけで夜景については極力人が写らないように撮るほうがいいですね。
とはいえそう簡単に途切れはしないので長期戦待ちです。
来場者のほとんどはカップルか家族連れですね。
混雑していても人の流れに波がありますから
他に良い撮影スポットがないかと周囲をチェックしながらのんびり待っていれば人の波が途切れる瞬間があります。
終了間際になると、閉鎖30分前で入場が終わるので人数も急激に減りますから撮りやすくなります。
もちろん終了後にまでねばって迷惑をかけてはいけません。
こういう多くの来場者で賑わうイベントで夜景を撮るのはタイヘンなのです。
屋上展望台からコッキング苑を見下ろしてみました。
目眩がしそうな高さです(^^;)
右は亀ヶ岡広場周辺を。
ウッドデッキ調のシーキャンドル展望室。
1Fのエレベーターに乗って到着するのがここです。
展望台はこの屋内展望室と屋上展望台の2つから構成されます。
予想以上に強度があるのか、多少の風くらいでは揺れませんね、シーキャンドルは。
まあ強い海風が吹き付ける所ですから頑強に作ってあるのかな。
屋上展望台への階段はエレベーターを降りてすぐ左側にあります。
エレベーターはここまでで、屋上へは階段になります。
右は降りる階段です。
表示が特に何もないので屋上展望台に上がらずに帰ってしまう方もいるようですが
悪天候で閉鎖されてなければぜひ上がってみて下さい。
さて、外周階段から下りてみます。
パイプ造りだしなんだかきれいな工場の中の階段ような感じ。
かなりの強風が吹き付けるので帽子など飛ばされないようにご注意を。
なお、人が降りる振動で階段はちょっと揺れますので夜景を撮るのは難しいです。
基本的に高所の外部階段なので高所恐怖症の方はやめておいたほうが無難ですが、
それでも何度も降りていると慣れてしまうようです。
私も高い所は好きではありませんが、今は毎回階段で降りるようになりましたし。
私の場合、足元が不安定で落下の危険性を感じる所は苦手ですね。
足元がガラス張りとか、穴が開いてて下が見える場所とか…(怖)
自衛隊の大型ヘリ(チヌーク)は乗っても全然平気でした。 きっと信頼してるからでしょう(笑)
ガラス張りで眼下が見えるような小型ヘリだとどうか分かりませんが。
ロープウェーとかはまあ乗れますがあまり気持ちよくはないですね。
横浜のマリンタワーは風でユラ〜リユラ〜リと揺れるので風が強いとちょっと怖いです。
ジェットコースターとか絶叫アトラクション系は全てNGです。 乗れるのは観覧車くらいですかね。
湘南ジェットコースターとか言われる湘南モノレールは先頭に乗るくらい平気ですが。
ちなみに私が高所恐怖症になったのは、小学校の社会見学で消防車に乗ったのがトラウマになったからです。
バケットに乗ってグイーンと上がるまではキャッキャと喜んでましたが、
ふと足元を見ると水抜きの為に底が金網状になっており、そこからはるか地上が…。
さーっと血の気が引いて降りるまでフリーズしていたようです(^^;)
あとはどこかの遊園地で乗った高い所のレール上を走る自転車のようなものですかね。
親にドヤされて無理やり乗せられたんですが、かえって高所恐怖症を増加させただけでした。
階段からの夜景。
クワガタの角みたいな桟橋は片瀬漁港です。
港内でなく桟橋の外側であれば釣りも可能な珍しい漁港です。
漁港の左側が片瀬海岸西浜で、奥は藤沢市鵠沼方面。
階段の途中から見たコッキング苑。
手前に写ってるウッドデッキは2Fのサンセットテラス。
サンセットテラスは1Fから階段で上がれるようになっていて、こちらは無料です。
暗闇の中に幽玄と浮かび上がるLEDによる淡い光の海。
カップルたちが「これヤベェよ、超ヤッベェ…」と言っていましたがまさにヤバイ光の海。
派手なライトアップではないのですが、派手ではないからこそというか…。
写真では伝わるかどうか分かりませんが思わず笑ってしまうほどヤバイ幻想的、幽玄な光景。
脳内で何かいけない物質が分泌されてくるような、そんな感じで。
植物園中央付近にある、ちょっと浮いた橋のようなウッドデッキの遊歩道。
足元は暗いので転落しないようにご注意を。
サムエル・コッキング苑 クリスマスイルミネーション。
以上、シーキャンドルライトアップをお送りしました。
写真を撮っていると時間が過ぎるのはあっという間です。
名残惜しいですが閉園時間です。
こちらは12/23のヨットハーバーのセンタープロムナードクリスマスイルミネーション。
今年は残念な事に前日の雨でコンセントがショートしてしまったとの事で、
修理できなかったヨットの一部は無灯火となってしまいました。
点灯しているのは5割〜6割くらいです。
湘南港堤防の方では毎年恒例の海上自衛隊掃海隊協力によるクリスマス掃海艇一般公開及び
電灯艦飾が行われていますがレポートはまた後日に。
掃海艇の電灯艦飾そのものはYOKOSUKA軍港めぐりをご覧下さい。
今年は3月に就役したばかりの新型掃海艇、その名も「えのしま」(JMSDF
Enosima, MSC-604)がやってきました。
これまでの木造からFRP(繊維強化プラスチック製)へと進化しています。
掃海艇は磁気機雷に反応しないよう、これまでは木造で作られていました。
今でもまだ大戦中の機雷が見つかったりするのは別に珍しい事ではなく、
毎年発見されては出動し処理しています。
なんせ日本側も防衛の為に近海に数万個敷設し、米軍も何万個もの機雷を日本中にバラまいたので…。
ほとんど処理されたものの、それでもまだ多くが発見されないまま日本近海沿岸海底に眠っています。
日本の掃海部隊は経験豊富で、能力は世界一だとも言われています。
シーレーンを封鎖されると干上がってしまう海洋島国の日本にとっては一番重要な部隊かもしれません。
日本近海だけでなく、ペルシャ湾のホルムズ海峡なんかも機雷封鎖されると原油が運べなくなります。
燃料が無くなるとどれだけ困るかはみなさんも東日本大震災で理解された事でしょう。
原油は世界的に重要な戦略物資でもあります。
産油国のどっかで火事が起これば即日本の台所に延焼してしまうほど重要なのです。
原発が止まってる今、中東に何かあれば最悪オイルショックになる恐れが…。
それを恐れてか、あるいはやはり予算不足からか、
海自は掃海・対潜能力を強化したDEX(近海型小型護衛艦/海防艦)を作るみたいですね。
小型の掃海艇(570t前後)や掃海艦(1000t)よりも大型の3000tクラスで、外洋でも運用しやすい強みがあります。
離島防衛やらなんやらと多目的に運用する為の、護衛艦と掃海艇の相の子のような性格の艦ですがさてさて。
江ノ島駅に戻ってきました。
クリスマス電飾された江ノ島駅とそれを見つめる着せ替えスズメたち。
右は駅入口にある江ノ電ショップ屋上に設置されたミニシーキャンドル。
江ノ電では毎年クリスマスに江ノ島駅や鎌倉高校前駅を電飾しています。
江ノ電藤沢駅ホームに帰ってきました。
車止めのクリスマスデコレーションと江ノ電。
藤沢駅南口前ロータリー。
こちらもクリスマスイルミネーションで飾られています。
2012年12月はこれで終了になります。
時系列としてはこの次は大晦日のよこすかカウントダウン2013となります。
神奈川県横須賀市で行われる新年カウントダウンイベントで、
普通と違うのは電飾された海上自衛隊や米軍の艦艇をながめながら行われる事です。
続いて元旦のYOKOSUKA軍港めぐり、逗子海岸のサンセット編へと続き、
それから次のページの1月2日江ノ島編となります。
戦車研究室付属別館 写真資料館