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コンストラクションテクニック    2003/11/21


今回はコンストラクション製作のススメです。
bisにはありがたい事にマップを自作できる機能があり、これによって自分で戦場を作ってしまう事ができます。 基本的には50の用意されたマップに初期配置ユニットを配置していき、さらに増援ユニットを設定し、セリフやミッションブリーフィングを自分の考えたシナリオに沿って書き込み、ほぼ通常マップと同等の戦場を構築することができます。
通常マップと比べてできない事は増援登場の設定が、”キーとなるユニットの撃破、退場による出現”のみに固定されており、時間増援やライン通過増援などが無い、という事くらいです。 あとは無限出現くらいかな。 しかし、無限出現はともかく、増援については擬似的に発生させるテクニックも複数発明されており、不可能ではありません。

さて、ここではこれらの技術などを見ながら、実際に自作シナリオを作るまでの一連のやり方について解説していきます。

  <1.初期(このページ)> <2.ユニット命名と戦績表示> <3.ユニット設定> <4.ユニット配置> <準備中>

1.初期

まず最初にやるのがシナリオを考える事です。 ただ、これは必ずしもそうではありません。 以下に見ていきましょう。

 a.シナリオの構想
 まず自分がどんな戦場を創りたいのか、そのシチュエーションなどを色々考えるのがこれです。
例えば、まず戦場の規模(大戦車戦〜数輌による小規模遭遇戦)などをどうするのか。 最初はドイツトレーニング1のような簡単なものから創るのが良いかと思います。 基本的に創るのが楽なのは、登場戦車数16輌以内のものです。 これはなぜかというと、このコンストラクションでは”同時登場数は最大16輌”という制限があるからです。 これを超えると、増援部隊がうまく登場しなかったり、クリア後の戦績表示がおかしくなったりします。 やろうと思えば同時20輌も実は可能なんですが、それはまた後で。
 さてシナリオですが、一番てっとり早いのは史実から探す事でしょうか。 欧州戦線については、戦車についての書物も多く、それらを読む事で、お気に入りのシーンなどがあるかもしれません。 色々漁ってみるのが良いでしょう。 別に史実通りのシナリオである必要などありませんので、他の小説や漫画、アニメや映画等で観たシーンからの流用でも良いと思います。 ただ、この流用の場合、個人で楽しむ分には構いませんが、公の場で公開するとなると、著作権の問題が生じますので、あからさまに模造してしまうのはどうかと思います。 その場合は製作元の著作権を所持されてる方にご許可を求める必要が出てくる場合もありますので。

 特に参考となる文献などが無い場合は、パンフロ通常シナリオを参考にしてみるのも手です。 例えば立場を変えてみるとか、その後のシナリオを作ってみるとかです。 私が最初に創ったシナリオ『春は遠く 〜冬のレマーゲン〜』は、通常シナリオ『ルーデンドルフ鉄橋』のIFシナリオです。 ”ほとんど戦力など無いに等しいドイツ軍側に増援があったら?”というものですね。 それをドイツ側から創ってます。 いや、元々パンフロの『ルーデンドルフ鉄橋』も史実とは違い、増援部隊がいるんですけどね。 涙無しには語れない史実はこちら『ラストオブ・カンプフグルッペ』 )。 とにかくまあ、上でも書いた通り史実通りである必要などないので、色々自分なりに肉付けしたりすればいいのです。 用は”もしここで〜なったら?”という空想でOK。 いやほんとに。 私の2作目『我が森をさまよえ亡霊』はストーリーモードに登場する中隊長カスパー大尉の戦友シナリオですし、『雪の中に消えた町』はパンフロ『クラスノーエ・セロ』直後、ドイツ軍反撃シナリオです(メイキング参照)。 そんなに悩む必要など無く、気軽に自分が創ってみようかな、と思った題材で始めれば良いのです。

 それでも自分にはイメージが湧かないよ、というのであれば、実際にどれかマップをロードし、それこそ適当にユニットを配置していってみるのも手です。 ここの方面がドイツ軍、では敵はこちら側から攻撃させようか、とか。 マップには森林もあれば街や村などがあるものもあります。 それで攻防戦でもいいし、歩兵部隊を護衛するシナリオでもいいし、単純に遭遇戦でもいいわけです。 マップを色々眺めてみると良いでしょう。 もっと具体的に感じたかったら、実際に足の速いパンターなどを自車として配置し、テストプレイでマップ中を走ってみるのも良いです。 これは高低差などを含め、イメージでは判らなかった実際の状況を確認する上でも有効です。 なお、なるべくなら、橋を敵味方が通過するマップは避けた方が良いかと思います。 なぜかと言うと、狭い橋などをコンピューター処理のユニットに通らせるのは難しいからです。 タイミングが合わずにユニット同士が接触して設定ルートから外れて川に落ちたりする可能性があります。 これらは上級者向けと言えますね。 狭い場所はたいていそうです。 クラスノーエなどでも、ユニットが瓦礫の山に入り込んでどうしようもなくなる事がよくあります。 これを迷走と言いますが、これについてはまた後で。


 b.ユニット配置
 大方ストーリーが決まったら、実際に配置していきます。 この時、上記にも書いた通り、いくつかの注意点がありますので確認しましょう。
さて、まずは初期配置車輌です。 最大16輌ですが、14くらいにした方がいいかもしれません。 この辺は、他のユニットや、建物などが影響してくるものと思われます。 ギリギリまで登場させようとすると、時々変になってしまう事があるのです。 これはプレステの能力の制限によるものであり、各ユニットを表示し動かすのにメモリやCPUパワーを使用しますし、ユニットに限らず、市街地などや風車などの表示も処理にかなりの容量を食うものなのです。 これに加えて野砲ドカスカ、歩兵や火点いっぱい、ヤーボに雪も降ってます、なんてやると処理落ちする事がたまにあります。 ゼーロウなどで煙幕使うと付近の野砲の爆発で一緒に煙幕も消えてしまったりしますが、あれも処理落ちが原因と考えられます。 設定条件によってはゲーム中に突然ミッション失敗となる事もありますが、これもそうだと思います。
まあ最初は無理せずに中型マップくらいにしとくのが良いでしょうね。

 ユニット配置の手順ですが、まず初期位置を指定し、それから進行ルートを順番に指定していきます。 最大16ポイントまで指定できます。 「行間指定」で、その区間の速度を指定することもできます。 また、初期配置位置を、指定したルートの途中に設定する事もできます。 ユニットの能力などを決められる画面で、「初期位置」となってる所の数字を変更すればOKです。 これはユニットの性格を「慎重」にしたりする事と、彼我のユニットの「脅威度」により、そのユニットが反撃しつつじわじわと後退する、というシーンも作れるわけです。 双方の戦力差がある程度大きい必要がありますけど。 また、友軍に限り、補給ポイント上を通過させておく事で、弾切れになったらそのルートに沿って後退、補給ポイントに到着して補給が自動で済むとまた前線に戻ってくる、という風な事もできます。 敵味方とも、弾切れ近くになると指定したルートをバックで後退していきます(ただし、そのユニットの性格や状況にもよる。下がらずに機銃を撃ちまくることもある)。 ユニットの能力を「高い」に設定すると射撃能力に加えて砲弾装填速度も倍になり、当然弾切れしやすくなるので有効です。 敵ユニットの場合は弾切れで後退されると、プレーヤーがいくら探しても見つからない、なんて事態も起こりえるので、ずっと射撃を続ける敵という設定はまずいです(あんまり無いとは思うけど)。 障害物の無い見通しの良い戦場で、遠方からずっと撃ち続けるような場合だとこうなる可能性がありますね。 その場合は、最初の位置(ルート番号1)を画面外の撤退位置に指定しておき、ユニット配置位置をその途中に設定しておけば、探して撃破しなくても勝手に撤退してくれるはずです。 なお、車輌は撤退しますが、バグなのか歩兵は撤退できません。 歩兵が戦場から離脱する事で増援指定、なんてのをやっておくと、部隊が全滅しない限り、いつまでたっても増援が来ない、なんて事も起こります。

 対戦車砲の配置は特殊で、まず最初の指定が場所、次にそれがどっちに向いて配置されるかを決めます。 つまりポイント1が設置場所、ポイント2が方向を指定することになります。 例えば右上に向かって前進、という指定をすると、対戦車砲は右上を向いて設置されるわけです。 360度全周旋回可能の88mm以外はこれの設定で射界が決まってしまうので注意(約120度)。 また、高低差も重要です。 高い場所や斜面に設置すると、俯角が取れずに射撃できないなんて事も起こります。 建物の陰などに置くと、敵の位置によっては建物が邪魔になり、敵に撃とうとして建物ばかり撃ってる、という事もあります。

 なお、配置については、ユニットをコピーして追加していく方法がありますが、”必ず進路指定を修正する”のを忘れずに。 これを忘れると、増援指定によっては重なった位置に出現する事となり、そのユニットがいなくなるまで出現を停止保留されたりします。 もしそのユニットが出現と同時に撃破されたりすると、残骸が消えるまで増援が出なくなってしまうのです。 ちなみに残骸は、16制限に従って、プレイヤーの視界外のやつから消えていきます。 戦闘状況によってはプレイヤーの目前の残骸はいつまでも消えずに障害物として残るので注意が必要です。 また、残骸に限らずユニットが画面上に多数出ると、表示しきれなくなり、見えなくなるユニットも出ますのでこれも注意が必要でしょう。

 配置にあたっては、戦況を考え、プレイヤー小隊がどこにいるかも考慮せねばなりません。 側背面ワープアウト”は一部演出等の例外を除き理不尽ですので禁じ手です。 味方が制圧している場所から突然現れるのも不自然になります。 基本的にはプレイヤー車から中距離以上の位置か、建物などの障害物の背後に置くべきでしょう。 ”出現と同時に近距離から発砲”などは極力避けねばなりません。 不自然な出現をするマップは当然面白くないし歓迎されません。 戦場として、不自然な部分はあってはならないのです。

 建物火点は配置に注意が必要です。 機銃は構いませんが、火点対戦車砲は射線上にあると味方も誤射してしまうからです。 つまり、味方が建物火点の前方に出るような状況下で対戦車砲を仕込むと、前を通過中の味方の背中を誤射してしまいかねません。 基本的に戦車や対戦車砲の砲弾は友軍のユニットを透過する特殊なプログラムがあり、味方を誤射する事はないのですが、建物火点だけはそれが無いのです。 また、射撃能力も高い上に、ボカージュなどの視界障害物を無視して1000m以内の敵を撃ちます。 設置には戦況をよく考慮して下さい。 なお、88mmを設置しても、射界は限られます。

 それから戦車部隊の編成ですが、小林源文先生の漫画「炎の騎士」によると、LAHでは戦車中隊は10+指揮1くらい、突撃砲は7輌ほどのようです。 戦争初期の場合、中隊本部が2輌、それに4個戦車小隊で、各小隊は3〜4輌編成が標準のようです。 中期のIV号中隊では本部2輌、3個小隊で各5輌ってのも(計17輌)。 人数は5名×17輌で85名、それに本部に8名ほどが追随していたようです。
 パイパーカンプグルッペでは、大隊本部がパンター2輌、中隊はそれぞれIV号かパンターの編成で、各中隊定数は7輌となってます。 王虎の501重戦車大隊は本部3輌、第1〜第3中隊各6輌編成のようです。 黒騎士中隊の中期は本部パンター2輌、それにパンターとIII突の混成ですね。 初期は第8中隊で損失を受けてIV号がたった4輌しかいませんでしたが。
 まあ、ゲームでは車輌制限によりこんなのは再現できないわけですが、参考までに。

 c.ルート配置
 ルート配置ですが、橋など狭い場所を通過させる場合は、いったん橋などの手前の直線上にポイントを指定して減速させておき、あとは速度3を指定して無理やり渡らせてしまうのも手です。 この際、敵の姿が見えていたりすると反撃しようとしますので、必ず3にして後続が渋滞を起こしたりしないようにする必要があります(後続がいなければ問題無し)。 また、ルート指定の際、指定した位置の手前で方向転換してしまう、というのも忘れずに、”1つ分遠くに置く”を守りましょう(戦術・テクニック編/ユニット編参照)。 特に、前の車輌が橋の上で撃破されたりするととんでもない障害物になってしまいます。  大きな橋や道路であるならば、2車線の左右をきちんと分けて通らせるとうまくいきます。 これらは実際にテストプレイを何度もやり、問題がないかどうか、また、どの辺りで残骸になってしまうかを良くチェックする必要があります。
 なお、「行間行動指定」による速度指定はAと1〜3で、Aは自動で判断し、普通の動き方をします。 1は敵がいなくなるまで交戦重視、2は交戦しつつ前進、3は強行に前進です。 残念ながらバック指定はありません。 あると面白かったのに。
 マップ「クラスノーエ」は迷走しやすいので注意が必要です。 ここではテストを何度もやり、迷走しないようにしなければなりません。 私も散々苦労しました(´Д`;) 街の中に敵歩兵がいても反応して迷走しやすいのでご注意。 どこか瓦礫の山に入り込んでしまう事が多い場合、そこから出れる場所に予防指定ポイントを置いておくと、そこへ方向転換して向かいますのでなんとか出てこれる事があります。 「ヴィレルボカージュ」では、どうも壊せない壁がユニットの行動に悪影響を与えているようです。 ここは特別にわざと”壊せない壁”にしたらしいのですが、これを2”ユニット”として認識してしまうのか、それを避けようとしてプルプル震えたり迷走したりしてしまうようです。
 ”脅威度”とは、それぞれのユニットが持つ敵能力指数であり、脅威度の高い敵がいたりすると行動を停止したり後退したりします。 これはお互いの性格や行動指定も影響します。 なので、発見されてる脅威度の高い敵の付近を装甲車などに走れと命じても止まってしまう場合があるわけです。 まあ当たり前ですな。

 d.能力設定
 お次はそれぞれのユニットの能力設定です。
基本的にバランスが取れるように設定していきます。 総力的にあまりにも敵が強かったりするのは理不尽です。 また、各戦車の特徴として、砲の威力が高い砲ほど弾着誤差が少ないので注意。 つまるところ、ドイツ戦車はそのままでも結構命中率が高く、ソ連軍戦車は低いです。 その辺も考慮しましょう。 なお、能力の高い敵は、あくまでもバランスがとれる場合にのみ使用するといいです。 例えば自車ティーガーで敵がM4部隊の場合、M4ではまずティーガーを正面撃破できないので、この中に能力の高い敵を少々混ぜる事によって戦いにスパイスを加える事ができます。 敵の火力増大でプレイヤーの射撃を邪魔できるわけです。 撃ちまくられる事でプレイヤーも”この野郎!”と怒ってくれます(笑)
 逆にファイアフライなどは能力を落として低くすべきです。 アレは反則気味ですしね(汗) プレイヤーもファイアフライの恐ろしさは充分よく判ってるので、”ファイアフライににらまれてる”だけでも慌てますし、至近弾でも冷や汗をかいてくれます。 それで充分でしょう。 有りとする場合は、敵の数が少なく、こちらが多数の場合などでしょう。 つまるところ、『十月農場』や『ロシアトレーニング2』などの状況です。 友軍に仕込む場合は、やりすぎると自分の獲物を取られてしまうので、やはりバランスでしょう。

 なお、クリア不可能なほどの難易度設定は止めた方がいいです。 まず自分がちゃんとクリアできる事は大前提です。 また、作者と他のプレイヤーとでは、難易度に対する感覚が結構離れてしまうものです。 特に難易度の高い作品などはそのワナに落ちる事が多々あります。 自分の作品をプレイしてくれる人がいるなら、やってもらって感想を聞きましょう。 自分が簡単だと思っても、実際に他の人がやるととんでもなく難易度が高かった、なんてのはよくある話です。 無茶な戦況やクリア条件などは注意が必要でしょう。 多少、プレイヤーにスキや甘さを見せてやるのがマップ製作者の腕の見せ所かもしれません。 答えが1つしかない、なんてのも危険です。 プレイヤーがあれこれ考え、ある程度自由に好き勝手やれるくらいが丁度いいのではないかと思います。

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2003/11/21 Presented by 羊