霞ヶ浦駐屯地 開設50周年記念行事

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   車輌展示/89式装甲戦闘車1   

 こちらは駐屯地内の道路に展示中の89式装甲戦闘車です。

 89式装甲戦闘車は90式戦車に追随する歩兵戦闘車として設計された装甲車で、左右各3ヶ所と後部ハッチに1ヶ所のガンポートにより、搭乗している歩兵が外部に姿をさらすことなく安全に側背面を射撃できるようになっています。
 基本的に戦車だけが独自で行動することは危険で、隠れた敵兵等によりいつ攻撃されるかわかりません。 現代の対戦車兵器は年々性能が向上しており、90式を正面から撃破するのは極めて困難であっても、正面より装甲の弱い側面からの攻撃を受けると危険です。 そこで歩兵も戦車部隊と共に機動展開しなければなりませんが、現代の戦車は機動力が極めて高く、歩兵がそれに追随するためには高機動化された兵員輸送車が欠かせません。 また、戦車部隊が展開する場所は最前線である事が多く、現代の戦場においては生身の歩兵は砲爆撃により極めて危険な状況にさらされます。 そこでこういった装甲戦闘車が必要になるのです。

 89式装甲戦闘車は、車種的には米軍のM2ブラッドレーと同じ種類に属するもので、車内に7名の歩兵部隊を収容する事が出来、砲塔には35mm機関砲と、同軸に7.62mm機銃、両側側面に対戦車誘導ミサイル重MATが装備されています。 この他、砲塔上部にも5.56mmミニミ軽機関銃を備えることができるようになっているようです。 これは砲身基部左側に設置したアームにより、砲身の上下動に連動してリモコン射撃ができるようになっているとの事です。 ただ、常設ではないみたいです。 危険な戦闘状況において車長が車外に姿を出すのは危険と考えられているのではないかと思われます。
 これらの強力な武装と装甲によって搭乗した歩兵を守りつつ戦車部隊に追随して高速に展開、対戦車誘導弾をも含む強力な火器により部隊を支援する事ができます。

 サイドと後部のガンポートはしばしば防御力の低下問題が指摘されますが、これは想定される過酷な戦況を考慮した結果要求された装備であり、また設計ではかなり強度を持ったものになっているようです。 車内後部には乗員が各ポートに対して座れるようになっており、このガンポートに89式小銃を接続して外部側背面への射撃を可能にしています。 これはボールマウント状になっていて、くるりと90度回すことで閉じることができます。 ちなみに動くのは中央の金色の部分のみで外周の迷彩色部分は固定されています。
 この車輌の問題点が挙げられるとすれば、それは1輌の価格が高く、数がなかなか揃わないということでしょうか。 戦車と同数は欲しいところですが、この価格のため、平成14年度も15年度も各1輌ずつしか要求されていません。
 なお、この装甲戦闘車の車体は99式自走155mm榴弾砲の車体にも流用されています。

 89式装甲戦闘車データ (戦車研究室データ)

それでは、写真をご覧下さい。(画像をクリックすると拡大します)
各画像は1024x786、100kb〜150kb程度です。

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展示場の89式装甲戦闘車


解説板


車体正面上部


右前部


起動輪付近


右側面ガンポート


砲塔右側面
重MATとスモークディスチャージャー


ガンポート部
射撃体勢


ガンポート拡大


右後部


右後部2


右後部3

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