2006/4/7
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フライトシミュレーターにおける着艦方法

フライトシミュレーターで着艦が難しい、との声があるようなので、エアダン4でちょっと作ってみました。

着艦手順ムービー (時間6:01 21.3MB wmv形式)

まずは画面の説明から。

ベロシティベクトルは機体が進行している方向を示しています。 Wマーク(ウイスキーマーク)が機首が向いている方向を示しています。 現在着艦のために速度を210ノットまで落としている状態です。 速度が低下すれば揚力が減って機体は降下しはじめます。 そのままだと降下率が大きすぎるため、機首を上げて降下率を調整しています。
この状態では、機首は4度ほど上を向いていますが、機体は1分間に1000フィート降下しています(昇降計参照)。
速度を着艦速度まで落とすためにエアブレーキを展開し、現在210ノット、高度521フィートでギアダウン、フックダウンしています。 なお、AOA計は機首が向いている方向と、機体が実際に移動している方向との角度を示していますが、10度くらいが最適でしょうか。 私はまったく見てませんが(笑)

着艦の際には、まずパワーを絞り、エアブレーキを展開して速度を250ノット以下に落とし、1000フィート以下でゆっくりと空母への着艦ラインに載ります。 この際、ベロシティベクトルを空母の中心付近に重なるように操縦します。 そうする事で機体は空母へ向かって行きますが、速度の低下により機体は沈んでいくので、少しずつ機首を上げてベロシティベクトルが常に空母に重なるように操縦しましょう。 エアダン4の着艦モードでは、最適な着艦速度は134ノットとなっています。
なお、右下の4つの表示は、上から「フラップ」「エアブレーキ」「ギア」「着艦フック」がそれぞれ作動している表示です。

空母に近づきました。 角度的に空母がこんな風に見えていれば問題ありません。 家庭用ゲーム機では表示能力に限界があるため、空母にかなり近づかないと滑走路の角度すら判りませんので注意。 ずれていたら修正します。
高度約200フィート、速度は約138ノット、降下率は約800フィート、機首を7.5度くらい上げて最終進入に入っています。 ベロシティベクトルが空母の中央に重なるよう維持しますが、重ねていると滑走路が見えないので、ずれた時に滑走路の角度をよく見るようにすると良いでしょう。 本来の着陸・着艦においてはAOA計や昇降計は重要なはずですが、そんなもん見ているヒマなど無いです。 速度を良く見て、これ以上速度が低下しないよう、パワーを序々に上げていきます。 

最終進入。 機首を10度まで上げ、速度が落ちすぎたのでパワーを上昇、ベロシティベクトルを滑走路の中央に合わせるよう操縦します。 なお、高度計は対地高度計です。 機体の真下の地面や海面、或いは空母の甲板上までの高度です。 空母の甲板は約75フィートくらいだったかな。 慣れるまでは速度なんかよりはベロシティベクトルの維持に最大の注意を。
一応ベロシティベクトルのすぐ左に着艦誘導灯が見えていますが、家庭用ゲーム機の解像度ではろくに見えないのであてにはなりません。

この段階で、これくらい滑走路が見えてれば問題なしですが、あまり見えないようなら高度が低すぎます。 機首をもっと上げて高度が下がりすぎないようにします。 その際ベロシティベクトルは甲板から上へずれてしまいますが、高度の調節の時はそれでいいです。
逆に甲板が広く見えているようなら高度が高すぎます。 パワーを落とし機首を下げて降下率を上げ、高度を下げて下さい。 その場合に速度が上がりすぎるようならやり直したほうが賢明です。 慣れてくると機体を左右に振って速度を殺したりしますけど。

うりゃぁ!と着艦! ベロシティベクトルは必ず着艦ワイヤーの前方へ。 手前すぎると機体がはねたりしてワイヤーを捉えそこなったりします。 また、甲板手前に激突する危険もあります。 スティックは大きく動かさず、チョコチョコと微調整する感じで操作するのがいいかも。


☆それでもムリ?

では少しやり易いかもしれない方法を。 お勧めは低空進入です。 十分距離を取り、高度200フィート、速度200ノットくらいで直進を維持して水平飛行し、着艦ラインに乗って空母へ向かいます。 これで空母の滑走路が見え始めてからベロシティベクトルを空母の甲板に合わせれば良い、というわけです。 エアダンではこれやると高度が低すぎると教官に怒られますが、まずは着艦に慣れる事が大切ですので。 着艦の前に、陸上基地の飛行場で狙った場所に着地できるように練習するといいでしょう。 他のゲームはどうか知りませんが、エアダンでは250ノット以下でギアダウンできていれば着陸着艦は可能です。 ただし、速度が250ノットを超えてしまうと自動的に収納されてしまいますので注意(ゲームや機体にもよる)。
ちなみに、私の他の作品では、時間の関係もあって約240ノットくらいで着艦してます。 乗ってるパイロット達は衝撃で息もできないかもしれません(笑) こんな速度だと機体はあまり沈みません。 機首もそんなに上げなくていいですが、着艦直前にちょっと機首を上げてフワッっと着艦すると良いです。 操縦的には、ベロシティベクトルを空母の後部甲板から中央甲板へ移動させるような感じで。 『猫の休息 -TOMCAT in the seashore of evening glow-』では、飛行場への着陸の際、着地寸前に機首が上がって、そっと着地しているのが分かるかと思います。 着地の場合は、着地しても機首をしばらく上げたまま滑走するもののようです。 こうすることで減速しているのでしょう。 もっとも空母艦載機はあまり気にしないのか、厚木にいたブラックナイツのF-14は、着地してすぐ機首を下ろしていたようです。

・機首を上げると機体が上昇してしまう
速度が速すぎます。 速度計を見て、もっともっと速度を落として下さい。 なお、ゲームによっては速度の単位がノットではなくキロかも知れませんので注意。 適正な速度であれば、機首を少し上に向けていても機体はゆっくり緩降下していきます。

・速度は合っているはずなのに甲板に激突してしまう
着艦の瞬間に、機首が下がっていたか、上げすぎてケツを甲板に激突させた可能性があります。 高度が高いと空母を越えてしまいそうになり、慌てて甲板に向けようとして機首が下がっていた可能性がありますし、逆に低かったり、狙った着地ポイントが手前すぎた場合、慌てて機首上げ操作を行ったためにケツが甲板に激突したか、車輪かケツが甲板後端にひっかかった・接触した可能性があるわけです。 ギアダウンしてなかったなんて失敗も。

・適正な着艦速度は?
ゲームや機体によります。 説明書をよく読んでみて下さい。 まあ説明書には載ってないかも知れませんが、着陸できるのであればだいたい判るはず。 機体をコントロールできる範囲内で速度を落としていけばいいわけです。 試しにどこまで速度を落とせるのか、乗っている機体で試してみるといいかもしれません。 とりあえず着陸できるのであれば、うまく狙った所へ着陸できるように何度も訓練してみましょう。 空母は飛行場より甲板が短いだけです。 エアダンみたいに着艦訓練モードのあるゲームを買うといいかもしれません。

・着艦進入してたら、進入方向が空母の滑走路からズレていた
落ち着いて修正して下さい。 速度が遅い上に高度も低いです。 大きな機動を行うと失速して墜落する危険があります。 滑走路が右を向いているのであれば、ゆっくり機体を右にバンクさせて右旋回します。 滑走路がまっすぐに見えてきたら改めて滑走路へ機首を向けます。 滑走路が左に見えていたならゆっくり左旋回して、滑走路がまっすぐ見えてきたら機首を滑走路へ戻せばいいわけです。 なお、この過程で速度と高度が落ちているはずです。 進路を戻したらそれをチェック、パワーをやや上げるなどして修正して下さい。
『TOMCAT Forever』の着艦では、空母の真後ろから進入していき、着艦直前で機体を右にバンクさせて進路修正し着艦してるのが判ります。

ただし、もっと厳密なシミュレーターの場合、空母が移動していたり、横風などの気象条件も大きく影響してきます(エアロダンシングでは無風、空母は停止状態)。 空母が進んでいるのであれば、当然ながら着艦針路は右側へとずれていきます(アングルドデッキを持つ現代空母の場合。旧型の甲板を持つ空母では前方へ移動するだけ)。 この場合は、空母の移動速度(というかズレ方)を考慮に入れて、未来着艦位置を空母の現在位置より右前方に見据えなければなりません。 着艦針路の軸線を頭の中でやや右側に設定して、ベロシティベクトルを空母の予測できる未来位置に合わせて進入していきます。 最終進入に入ったら針路を微調整して着艦に備えましょう。
横風はもっと難しい調整が必要になります。 機首をやや風上へ向け、横滑り気味に進入していかなければなりません。 機位の微調整を繰り返すので速度と高度がどんどん落ちていきます。 機位を維持しながら、高度と速度にも気を配らねばならないのです。 速度と高度はやや高めにもっていくといいかもしれません。

と、まあこんな感じで着艦を行います。 これはあくまでも現代機を扱ったゲームでの話です。 私はレシプロ機のゲームはやった事がないので、たぶんベロシティベクトルなんて便利な表示は無いのではないかと思いますが(大戦機などにはヘッドアップディスプレイ<HUD>が付いてないのだから当たり前ですが)、その分速度が遅いので、まあゆっくり落ち着いてやればうまくいくのではないかと。 旅客機なんかも機体の慣性が大きいため難しいですね。 旅客機のは昔ゲーセンでよくやりました。 機体が大型なだけに慣性が大きく難しくて、ラストの夜間悪天候の着陸などは歯を食いしばって操縦してました。 横風でおもいきり流されるのに設定された針路を直線でくぐって行かなければならないですから、これは大変です。 機首が斜めを向いたまま着地して、接地した瞬間に機首を正面に向けるのがコツでした。

 

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