2003/3/22

 PANZER FRONT bis 自作シナリオ

      春は遠く 〜冬のレマーゲン〜

                作/羊

米軍はレマーゲンを攻撃するも、すでに二度に渡って攻略に失敗していた。
レマーゲンを守備するドイツ軍は、退却中の味方部隊の来援によって辛くもその地を確保していたのだ。
戦力は無いに等しかった守備部隊は、たった数輌とはいえ、味方戦車部隊の到着と二度に渡る防衛の成功に沸き返っていた。

だが、ひとり浮かない顔の指揮官がいた。 
守備隊を指揮するハンス・シェラー少佐だ。
米軍がここを欲しがっているのは判っている。 その攻撃を二度も撃退したらどうなるか?
次こそ、奴らは本気でここを奪いに来るだろう。
増援があったとはいえ、今のこの戦力で防ぎきれるだろうか? 奴らの物量は凄まじい・・・。 

もうすぐ夜が明ける。 だがまだあまり明るくはない。
震えるほどに寒い朝だった。 
それもそのはず、もう季節は春だというのにまた雪が降っていた。 この地の春はまだ遠いらしい。 我らの春は来るのだろうか・・・。

急に部屋の外が騒がしくなる。 ノックも無しにドアが乱暴に開かれた。
プラートケ大尉が息を切らせて部屋に飛び込んでくる。
言われなくとも彼の顔を見ただけで用件が判った。
 くそ、他の増援は間に合わなかったか・・・。 
彼は悪態をつくと、窓の外を見てから、ため息と共に部屋をあとにした。

1945年3月14日、 時間の無くなった米軍は、新型重戦車を投入しついに総攻撃を開始した。
レマーゲンを守備するハンス・シェラー少佐は周辺の戦力をかき集めて米軍機甲師団を迎え討つ。 
ここは奴らには渡せない。 全力をもって撃退するのだ!

 




<メイキング>
このシナリオを製作したのはbis発売から半年後の事です。 自分でシナリオを製作できるコンストラクションシステムはとても面白いものでした。 このシナリオは史実では少数の守備兵しかいなかったレマーゲンに、後退中の友軍が加わったら、という「if」ストーリーです。 ただ、設定上少し変なところもあります。 まあそれはゲームということで(^^;)
自車はエレファント。 僚車はパンター2輌とティーガーが1輌です。 敵は米軍機甲師団。 最初、パンターはヘッツァーだったのですが、あんまり役に立たないのでパンターに。 ラングでも良かったんですけどね。
パンフロと映画「レマゲン鉄橋」では数門、史実では1門の対空砲が配置されてましたので、私も対岸の山に配置しようかと思ったんですが、対岸からだと射程(2000m)内に入るのは街の前面までなんですよね。 パンフロのようにあの”榴弾防ぎの凶悪な窪地”に設置してやろうかとも思ったんですが、普通PAKを戦車の前には置かないだろうなと思い直し、仕方がないので橋に仕込んでみました。 当然敵に潰されますが、まあそれはそれで。 しかしまあ、そのおかげで貴重なユニット16制限内でなんとかうまくやれました。 街中にも設置してますが、これは最初の野砲でハデに爆発していただくためだけの演出目的です。 なお、建物にPAKを仕込むのは難しい問題があります。 というのは、僚車や友軍はプログラム的に同士討ちをしませんが(味方車輌は砲弾が透過する)、火点のPAKは射線上にあるものは敵味方関係なく撃破してしまうからです。 ちゃんと敵を狙って撃つけど、その前にいると自分も撃たれてしまうわけですな。 したがって火点にPAKを仕込んだ場合、その前に自分や仲間が移動すると同士討ちが発生してしまいます。 要注意。

敵はシャーマンだけでは七面鳥撃ちになってしまうので、バランスを考えて架空戦車のT69E3を加えてみました。 これがなかなか硬くていい感じ。 プレーしてくれた方々も「高速徹甲弾を使ってしまった」など困っていただけたようで(笑) もうひとつはM26パーシングを。 パーシングはレマーゲン攻略にも参加したらしいので、これは史実通りかな。
敵のシャーマンは序盤のやられ役ですが、それだけではアレなので、スパイスとして射撃能力の高いのを数両混ぜてみました。 どうせシャーマンでは長砲身であってもエレファントの正面は抜けないので、それなら射撃の邪魔をと。 この射撃能力「高」は使い方ではなかなか良いものになります。 基本は自車を簡単に撃破はできない車輌に仕込む、という事かな。 自車を簡単に撃破できる敵に仕込むのはバランスが崩れてしまう危険があります(ロシアトレーニング2、十月農場とか参照)。

次に行動設定ですが、私は各車ごとに増援を設定し、進路もひとつずつ設定、なるべくグループ増援は使わないようにしました。 もっとも、最初グループ増援の意味が判らなかっただけですが(爆) しかしおかげで単調な戦いからは脱却できたのではないかと。 小隊で移動してると射撃が”作業化”しちゃいますが、バラバラに設定することで、撃破順やタイミングにより敵の攻勢に変化が付くという利点があります。 どうも展開が単調になるならグループ増援キーは使用しないのが吉。 16輌制限(パンフロはシステム上、一度に登場させられる車輌数は16とされている。やろうと思えば20輌同時出現も可能ではありますが)にも引っかかりやすいしね。 ただ、私は”雰囲気重視”で歩兵も野砲もいっぱいなので、ごくたまにメモリがオーバーフロー(あふれる)するのか突然ミッション失敗になってしまうことも。 あんまりいっぱい出すのも考えもの、という事です。 ちなみにマップによってもこのバグに差があるようです。 テテレヴィノの風車やクラスノーエの廃墟とかがたぶんメモリを食うんだと思いますが。

さて、展開ですが、ただ撃ちまくりでは単調になってしまうので、後半に味方の増援と、パーシングの登場です。  増援の虎部隊は、最初山の上から登場させたら面白いかなと思ったんですがボツ。 だってプレイヤーは戦闘で忙しく、誰も山なんか見ないから(^^;) しかしこの”崖の上から増援登場”はうまく使った方もおられました。 演出的になかなか面白かったです。 演出と言えば野砲。 戦場の雰囲気重視の私としては、雰囲気作りに野砲を活用しました。 これは街と敵の間にうまくバラまいて設置。 ドカドカ降って戦場に花を添えたものと思います。 一度だけ自車がいそうな範囲をギリギリ端っこに入れて、突然真上から”シャアアアアァァァッッ!!”という悪魔の音をさせるのもスパイス。 …あ〜んど、たぶん射撃中に野砲のスクリーンが邪魔になってうまく照準できなかった人もおられるかと(笑) こういった細かい演出は個人的に重要だと思ってます。 雪の設定なのでヤーボは飛ばしませんでした。 中級向けシナリオだしね。 なお、雪という悪天候設定なので、時間は朝を設定してます。 昼だと明るすぎて悪天候に見えないからです。 晴れなのに豪雨、ではちょっと変ですからね。 アジア南方ならスコールだと言い張ることもできますが。

さて、だいたいゲームができたらチェックです。 コピー&ペーストで大量に楽をすると、進路設定が同じままだったりといったエラーや、16輌制限を越えたりといったエラーが出ます。 その他では、角度がつきすぎてロシア戦車が坂の下の敵を撃てなかったり、障害物を撃ってたり、進路設定がまずくてユニット同士が混乱したり、橋を渡ろうとして川に落ちたり、脅威度で弱いユニットが前進しなくなったり。 タイミングやらなんやら、テストプレイとあわせてチェックしていきましょう。 何度もテストしてれば、ちょっと気になる部分がいくつも見つかるはずです。 難易度や、ゲームの展開におけるバランス調整などをやって煮詰めていくことで作品の優劣が決まるといっても過言ではありません。 徹底的にこだわりましょう。
こだわると言えばセリフもそうです。 初期設定のままでは味気がありません。 片っ端から自分なりにこだわりのセリフを設定してやりましょう。 もちろんミッションブリーフィングも大事。 残念な事に、このゲームに用意されてる漢字はかなり足りないし、見つけにくいのですが、そこは作品に対する情熱と愛と気合で打ちまくりましょう。 セリフやブリーフィングがちょびっとでは寂しいです。 もし自分の作品を投稿されるのであれば、上記のようにシナリオの解説、というか小説風のプロローグなども付けるとなお良いでしょう(投稿については下記参照)。

最後にユニット名。 今回は「光モノ」関係で名付けました。 自車シュピーゲル(鏡)、僚車/友軍リヒト(光)、リンゼ(レンズ)、ユヴェール(宝石)など。 他にはブリレ(メガネ)、シュリュッセル(鍵)、リング(指輪)なんかが候補でした。 橋を守ってた虎はシュリュッセルでも良かったかな。 自車はエレファントなので、敵弾を弾き返すという意味も含めてシュピーゲルです。 こういう風に、ユニットの特性なども考え、ちょっとした意味をからめて命名すると良いかと思います。
ドイツ単語なんて知らないよ〜という方々は、本屋の旅行関連の売り場を探してみましょう。 400円くらいの格安で、旅行者向けの簡易会話本が各国用にあったりします。 これの利点はなんといっても読み(発音)が書いてあること。 辞書には意味は書いてても読みは書いてないのです。 ”やさしいドイツ語”みたいな初心者向けの本なら読みも書いてあるんですけどね。
ちなみに私も参加してる、パンフロ野郎有志による共同HP「PzFbis自作シナリオ公開プロジェクト」では、「パンフロbis各国語集」で(独・露・伊・仏)についての単語講座も掲載してます。 かなり充実してるのでコードネームでいいのが思い浮かばなければぜひご参照下さい(^^)
コードネームの注意点をひとつ。 初期登場ユニットは「7文字以内」でつけましょう。 8文字入れると戦績表示がずれたりしてバグります。 増援なら8文字いれてもいいです。 

では、皆さんもぜひ自作シナリオに挑戦してみましょう!



 

このシナリオは「PzFbis自作シナリオ公開プロジェクト」で公開しています。
このデータをダウンロードするには、
「PCツナイデント メモリ取る」等のメモリ読み込み装置が必要です。

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