2003/3/22

 PANZER FRONT bis 自作シナリオ

      我が森をさまよえ亡霊

                作/羊

霧の立ち込めるアルデンヌの森。
敗北を重ね追い詰められつつあるドイツ軍。
ここマルダンジャンにもついに米軍の追撃が訪れる。
後退してくる友軍を村に迎え入れ、彼等を守りつつ敵を撃退しなければならない。
頼れるのはもはやここでは1輌しかないパンターのみだ。 
後退してくる友軍から救援要請が入る。 切羽詰まった声がヘッドセットから聞こえる。
濃霧の中、うっすらと装甲車の姿が見えてきた。 
 「森の中は敵だらけだ!」
悲鳴のような叫び声。 一斉に友軍の交信が飛び込んでくる。
 「大尉! 援護を!」
僚車からの無線連絡。 ついに来たか・・・。

ふと、脳裏に旧友の声がよみがえる。 不思議なやつだった。 ただ、何故かおぼろげに奴の言っていた事が解かるような気もする。
森の王がどうとか言っていたが、奴はもういない。
森の王・・・。 彼は霧の立ち込める森をじっと見つめた。
何かに捕らわれるような、或いは「にらまれている」ような不思議な感覚を覚える。

 ここにも「王」が?
 いったい何を求めているのだ・・・?

霧の森は何も応えない。 ただ彼らを覆い見つめ覆い続けているだけだ。
我らを・・・、彷徨う我らの魂を求めているのか・・・。

 「・・・・・・」

ヘルゼンはゆっくりと帽子を被った。
まあいい。 今は・・・戦うだけだ・・・。


<作者より>
実はストーリーモードとリンクしたシナリオとなっています。
主人公のヘルゼン大尉はあの人物の戦友です。
霧の中での戦いですので照準がやっかいです。 遠距離戦がメインとなります。
特に村への攻撃では見えない建物への「パシャーン」に気をつけましょう(笑) 弾返せ!(泣)
森の影に潜む敵にも注意が必要です。 
霧の森を彷徨(さまよ)って下さい。

 



<メイキング>

頑張って作った作品第2弾。 今回はストーリーモードがらみで作ってみました。
自車はパンター。 仲間はIII突と増援IV号です。 ここではパンターの快速を生かしてマップを走り回ってもらおうと考えました。 まずは友軍が撤退してきます。 彼らの保護が第一目標なので、彼らがやられると失敗です。 たいてい大丈夫ですが、たまに半地下線路に転落しそうになるのもいます。 状況は「霧」。 アルデンヌの森が舞台なので、朝靄に包まれた森、そして”王”のいる森を演出してみました。 また、パンターの砲は強力なので、そのままだとカンタンなので濃霧で調度いいでしょう。

この作品では、複合目標を設定してみました。 自軍の村と友軍の防衛、それから米軍に占領された村の奪回です。 ただの迎撃戦だけでなく、戦闘に変化を持たせるのが狙いです。 自車は村の防衛を気にしつつ、北にある村の奪回へ向かいます。 敵の迎撃を蹴散らして村を奪回すると、友軍から救援要請が入ります。 その連絡により、今度はマップ左下の村へ向かいます。 基本的に敵はM4長砲身と再登場のT69E3、そして駆逐戦車M10しかいませんので、アンブッシュを2輌ほど用意してみました。 不用意に救援に向かうと待ち伏せに遭うわけです。 何しろ森ですからね。 ただ砲戦やるだけではなく、待ち伏せする奴だっているでしょう。 ラスボス的な敵はいないですし、2輌くらいなら、と。 ここでも射撃能力の高い奴を混ぜてます。

結局このマップは、一周して戻ってくる事になりますが、パンターは高速なのでストレスにはならないでしょう。 ただ、あまりにも時間をかけると、ペナルティとして米軍の野砲攻撃が村を襲います。 村には友軍が退避しているので、全滅すると作戦失敗です。 もっとも、装甲車なので当たるかどうかは神のみぞ知る、という感じで。

コードネームはナシです。 というか、設定上ここの部隊は敗戦続きの中の生き残り部隊、ばらばらの寄せ集めなのでコードもへったくれもなく、コールサインは車長名にしてあります。
題名の元ネタは、ファンタジー小説「魔術師オーフェンはぐれ旅」の独特の題名の命名法から。 最初題名を何にしようか悩んでいたのですが、ふとこの小説を思い出し、その題名のパターンに当てはめて考えたのがこの「我が森を彷徨え亡霊」です。 「王」が覆うアルデンヌの霧の森、亡霊のようにさまよう独米軍。 これ以上似合う題名は無いとばかりに即決。
いや、この作者、いいセンスしてますよ、うん。 毎回題名カッコ良すぎ。 小説も面白いので、興味のある方は読んでみるといいでしょう。 ギャグ展開の「無謀編」とシリアスな「はぐれ旅編」があります。 私が唯一読んでるファンタジー小説です(といっても近刊2冊ほどは眠ったままなんですが)。


 

このシナリオは「PzFbis自作シナリオ公開プロジェクト」で公開しています。
このデータをダウンロードするには、「PCツナイデント メモリ取る」等のメモリ読み込み装置が必要です。


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