2003/3/22

 PANZER FRONT bis 自作シナリオ

      橋は何も語らず

                作/羊

 戦況は我が連合軍が優勢だと聞いていた。 しかし、友軍の状況は実のところあまり安心できるようなものではなかった。 ドイツ軍は各地で反撃を開始しており、2日前もこの先の戦区においてベックス戦車中隊がやられたばかりだった。 そして、先程もまた、偵察に出ていた歩兵C中隊が接敵、支援要請の後連絡がとれなくなっていた。
 現在橋を守備している歩兵B中隊が救援準備を始めている。 我がシェパ−ド戦車小隊にも救援の為の出動待機命令が出ていた。 小隊長プロヴォ中尉は1ヶ月前にここへやってきたばかりだ。 歩兵部隊の直協支援任務を2度ほどやっただけでまだまともと言えるような実戦は経験していなかったが、その指揮は仲間から信頼される能力を持っていた。
 『……敵…ザザ…車が…』
 『C中隊! C中隊! 聞こえるか?』
大隊本部がC中隊を呼び出している。
 『PAMTATATAM…GEBOBOBOBO…SYHAaAaBAMM!! ZAPiii!!

 『!!! …くそっ…』
無線が途絶えた。 C中隊がどうなったかは分かり過ぎるほど分かった。
 …奴らは戦車部隊を投入してるのか?
と、間髪入れずに大隊本部から無線が入る。
 『ブルドッグよりシェパ−ド! 歩兵C中隊がカモられた! 敵は急速に接近中! 奴らは戦車数輌を伴っているらしい。 歩兵B中隊がヤバい! 直ちに救援に向かえ!』
来た…ついに来やがった! プロヴォは顔を両手でパンと叩いた。 気合を入れる。
「エンジン始動! 戦車が来るぞ! 徹甲弾装填!」
愛車がうなりを上げ始める。 それは戦いの前の咆哮だ。
敵戦車と交戦するのは初めてだが、訓練と同じだ。 落ち着いて、敵をよく見て戦えばいい。
それだけさ!

 



<メイキング>

「自作シナリオ公開プロジェクト」で米トレーニング3を創れ、というお題にしたがって製作した6作目。 条件敵6輌、難易度初級。
どう料理しようかな〜と思っていたところ、創りかけで挫折してた橋を題材としたマップがあったのを思い出して改良、製作したのが本作「橋は何も語らず」です。 考えていたプロットは独米の橋を巡る攻防戦。 最初は中型マップの予定でしたがどうもあまり気乗りせずにお蔵入りしてたものです。
敵設定はIV号とIII突とパンター。 出現については初の純タイマー戦車を設定。 タイマー戦車とは、戦場から遠く離れた所に関係無いユニットを登場させ、そのユニットを一定時間動かしてから退場させ、その増援キーで予定時間に増援を出現させたり、あるいはセリフを発生させたりするというもの。 現在「自作シナリオHP」や相互リンクHPではとんでもなく複雑なタイマーが開発され、敵の撃破時間により増援が何種類も変化したりなどといった究極技が炸裂してます(゚Д゚;)  むう、私にはとてもそんな複雑な増援は組めないです(汗)
それはともかく、敵の第1波4輌を撃破し、敵歩兵を掃討するとタイマー出現、数秒でマップ外へ脱出、ここでセリフが出て増援パンター×2が出現します。 タイマーを使う事でセリフを確実に出し、時間を置いて増援を出すことで、しばらく戦場には不気味な静けさがもどります。 プレイヤーが「なんかヤベェぞ」というセリフで不安になった頃に突如パンター登場というわけです(実際はバレバレだけど)。
まあ初級ということで高速徹甲弾をパンターにぶち込めば片付くのですが、この後、初の試みとして、終了時のセリフ3つの後に、さらにタイマー3輌使って2つセリフを追加。 もっとも実際は出たり出なかったりするもので、タイミングを合わせるのはなかなか難しいです。
セリフは歩兵発見などでも友軍を支援しろというセリフを出したりしてます。
この作品はそのくらい。 まあお手軽小マップだからそんなにやれる事もないですしね。

※注
作中では歩兵第3中隊などと書いてたんですが、実は米軍は第1第2…ではなく、A(アルファー)B(ブラボー)C(チャーリー)D(デルタ)というフォネティックコード表記で歩兵中隊を呼んでました。 私のミスです。 戦車中隊は
どうなのかは不明なのですが…。


 

このシナリオは「PzFbis自作シナリオ公開プロジェクト」で公開しています。
このデータをダウンロードするには、「PCツナイデント メモリ取る」等のメモリ読み込み装置が必要です。


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