2003/3/22

 PANZER FRONT bis 自作シナリオ

       雪の中に消えた街 〜狼を狙う羊〜

                作/羊

バイエルラインはぎりっと歯を噛みしめる。
 「無理はするな。 敵車両は我が隊にまかせろ」
友軍のプフェールト隊からの無線連絡が入った。
彼の乗車であるV号nでは対戦車戦闘は難しいからだ。
そして、それはつまり敵歩兵や火点を相手にしろという事だ。
 ・・・この俺に言っているのか!
彼は今まで何輌もの敵戦車を葬ってきた。
彼が対戦車戦闘をやめるときは彼が死んだ時だ。
 ・・・・・。

バイエルラインはじっと遠くを見ていた。
T34が迎撃に出撃してくるのが見える。
2000m先では彼の乗車のV号nの短砲身では射程外だ。 短砲身の弾は初速が遅い。 初速の遅い徹甲弾は徹甲弾ではなかった。
しかしこいつには必殺の成型炸薬弾がある。 市街戦ならば・・・。
彼の足を誰かがとんとんとたたいた。 砲手のハンスだ。
彼等はせかしているのだ。 前進あるのみと。
 まったく、仕方のない奴らだ・・・。

”犬は相手にするな
   狼が来たら戦え
     引き下がるくらいなら刺し違えろ” 
        ・・・・・。

長年付き合ってきた彼らは、彼に負けず劣らずどうしようもない生粋の戦車兵達だった。
バイエルラインはうなずく。
奴らは・・・我らの獲物だ! 


<作者より>
このシナリオは「雪の中に消えた街」の別バージョンです。
W号からV号nになってるので難易度も激辛です。
ここはずいぶん苦労しました。 なんせ友軍のパンタ−が言う事を聞いてくれないからです。
撃破された敵にすぐひっかかるし。 プレイはテストも含めて百数十回にも及んでいます(汗)
慣れてしまうとそれ程でもなくなりますけど後半の防衛戦はとても心臓に悪い戦いです。
難易度は味方のパンター次第です。 パンターを守れるかどうかですね。
しかし度重なる調整の結果、パンターが無事だと楽勝なシナリオになってしまいました。
なんだ、簡単じゃないか、という兵(ツワモノ)は隠しファイルを…(^^;)
さんざん苦しんだ作品ですが、でもそれだけに私はこのシナリオ気に入ってます。
皆さんは・・・どうだったでしょうか?



<メイキング>

上記の通り、「雪の中に消えた街」の自車III号n版です。 なにはともあれIII号nで戦いたかった、それにつきます。
もとよりIII号nの主目的は歩兵部隊の支援。 なのでこの戦いにも投入されたという設定なわけですが、ところが車長は歩兵支援よりも対戦車戦闘がやりたくてしょうがない生粋の戦車長ときています。
ところが短砲身75mm砲の射程は最大で1500m。 こいつで野戦は少々つらいところですが、しかし市街戦であれば交戦距離は短距離の接近戦となります。 この砲の徹甲弾はT34の側面すら撃ち抜けない役立たずですが、成形炸薬弾(HEAT弾)ならT34の砲塔正面を十分撃ち抜けます。 となればこの戦場でも活躍できます。 問題はその特殊な射撃特性ですが、これは慣れてもらうしかありません。 ただ、その特殊さゆえ、後半の敵部隊の強行突入はヒヤヒヤものとなります。 実はこのシナリオの肝はそのドキドキ感にあります。 パンフロを初めてやったころ、新兵である我々は敵の一撃で即死しかねないこのゲームのシビアさを知り、そして死にまくってその恐怖を覚え、敵の位置などにドキドキしつつ戦っていました。 今となってはそのドキドキ感も薄れ、敵の展開を知り尽くし攻略も大方決まって作業じみた戦いになりつつあります。 そこで初期の頃のそんなドキドキした戦いをもう一度というコンセプトで製作したのがこの作品であり、実は「雪の中に消えた街」の本来のシナリオでもあります。 創ったのはこっちが先だったんですね。 ノーマルの方は自作シナリオ交換会用に難易度を落としたものなわけです。
そして副題である「狼を狙う羊」とはまさにこれ。 対戦車戦闘は難しいこのIII号nで雪狼狩り。 コレです。 副題に「羊」とあるし、自車のコードも「シェーフ」なので、よくメールでこれは私の戦いか、と聞かれましたが、これも逆。 元々私のHNは「狼を狙う羊」だったのです。 それはパンフロをやっていて、このゲームが弱小車輌が頑張って強大な敵との戦いをひっくり返す戦いであるのを見て自然と感じた感想で、まるで羊が狼を狙うような感じだな、と思ったのが最初です。 この作品の副題はそこから取ってあり、私のHNも元はこれで、それを省略してただの「羊」となったのです。
なので、この作品には手間と愛情がこもってます。 プレイしてみてそれを感じとってくれたら作者冥利につきますね。

で、設定ですが、これがえらく難しいものでした。 詳しくはノーマル版の方に書いてますし上でも書いてますが、友軍パンターの進路設定と調整にとんでもない時間と手間がかかってます。 はふぅ…。
車長の性格は闘争心あふれる人物に設定してます。 格闘ゲーム「ストリートファイター ゼロ3」の主人公、リュウの裏バージョン”殺意の波動に目覚めてしまったリュウ”がいくらか入ってます。 あの、「確かに狂っているのは俺の方かもしれない」「俺は進む。 その先に破滅が待っていようとな」な性格と、闘争心剥き出しの顔がたまりません。 ゴウキも少し入ってるかも。 それでドイツの生粋の戦車長。 萌え(爆)
コードは「シェーフ(羊)」「プフェールト(馬)」「ヴィントフント(狩猟犬)」「レーベ(ライオン)」となってます。 僚車はIV号が1輌。 ただし、能力は高いので頼れる相棒です。

なお、この作品にはパンターがあまり役に立たない「真・雪の中に消えた街 狼を狩る羊」版があります。
パンターが役立たずなので周囲が敵だらけ。 突入しまくり。 どいつから仕留めていくか…?(゚д゚;三;゚Д゚)うおおおっ

 

III号nは、T34ショックにより一気に旧式化したIII号戦車をなんとか再利用しようとして考案された、余りモノの75mm短砲身を交換装備した車輌です。 III号ではさすがに75mm長砲身の搭載は無理がありましたが、歩兵部隊の支援任務なら短砲身でも問題ありません。 投入した結果、友軍からの評価は上々で、大戦末期までに二百数十輌がn型へ改修されています。



 

このシナリオは「PzFbis自作シナリオ公開プロジェクト」で公開しています。
このデータをダウンロードするには、
「PCツナイデント メモリ取る」等のメモリ読み込み装置が必要です。

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