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戦闘機用エンジンであるロウルズロイス社製のマーリン V型12気筒液冷ガソリン・エンジンを、戦車用エンジンとして転用する研究は1941年から行われ、良好な成績を示していた。 マーリン・エンジンからスーパーチャージャーを外し、ガヴァナにより回転数を車載向きに直したものがミーティア・エンジンである。 しかし、生産能力の問題、エンジンメーカの縄張り問題等で車載化は遅れていた。 ミーティア・エンジンを搭載する戦車としてA27巡航戦車が開発されたが、エンジンの都合が付かず、カヴァリア巡航戦車、セントー巡航戦車と、ナフィールド社製のリバティ V型12気筒液冷ガソリン・エンジンを搭載する暫定戦車が生産されていた。 A27巡航戦車の車体にミーティア・エンジンを搭載した戦車の量産は、ようやく1943年1月になって開始された。 これが、A27Mクロムウェル巡航戦車である。 ちなみに「クロムウェル(Cromwell)」とは、17世紀にイギリス共和制を擁護した軍人の名前で、A27Mの”M”は、ミーティア(Meteor)・エンジンを搭載していることを表している。 本車は基本的には、クルセイダー巡航戦車の拡大発展型であるカヴァリア巡航戦車に、ミーティア・エンジンを搭載したものであるが、溶接構造が大幅に採り入れられており、大量生産が容易になった。 総生産台数は約3,000両であるが、この中には、950両作られたセントー巡航戦車からの改造車も含まれている。 1943年11月以降に生産されたクロムウェルMk.IV巡航戦車では、75mm戦車砲が搭載された。 北アフリカでの戦闘では、徹甲弾しか撃てない6ポンド戦車砲では、敵の対戦車砲に対して有効な制圧射撃ができず、苦戦を強いられた。 そこで、アメリカ製の75mm戦車砲を基に、6ポンド戦車砲の砲架に載せた75mm戦車砲が開発された。 この75mm戦車砲は、イギリスでは初の、徹甲弾と榴弾を撃てる両用砲で、弾薬はアメリカが、M3/M4中戦車シリーズの主砲と共通のものを大量に供与した。 ただし、この砲が順調に供給されるのは1944年5月以降である。 クロムウェル巡航戦車の当初の路上最大速度は40マイル/h(64.37km/h)で、世界最高速の戦車の1つであったが、サスペンションの寿命延長のため、後に32マイル/h(51.5km/h)に抑えられた。 アップリケ装甲を取り付けたタイプでは、装甲の最大厚は102mmに達した。 砲塔は、まず溶接で箱を作り、その上に装甲板をボルト止めする方法が採られた。 生産性が高く、高度な溶接技術は必要としないという利点はあったが、一枚板の装甲板に比べると、単位重量当たりの防御力は劣っていた。 砲塔形状は単純な箱型であったため、小さな車体上に最大容積の戦闘室が実現可能だったが、避弾傾始は犠牲にせざるを得なかった。 一時、17ポンド戦車砲の搭載も検討されたが、これは、元々の車体幅が狭過ぎて断念された。 なお、クロムウェルMk.VIとMk.VIIIはCS(Close Support:近接支援)仕様で、95mm榴弾砲を装備していた。 大量に生産されたクロムウェル巡航戦車は、1944年6月6日に実施されたノルマンディ上陸作戦から実戦に投入されたが、この頃には、主力巡航戦車の地位はアメリカ製のM4中戦車シリーズによって占められており、クロムウェル巡航戦車は、主に機甲部隊の機甲偵察連隊に配備された。 クロムウェル巡航戦車は、サスペンションの改良、新型変速・操向装置および新型エンジンの搭載により、原型のカヴァリア巡航戦車で問題となった機械的信頼性の低さは改善された。 しかし、エンジン等駆動系は一流になったが、主砲は依然威力不足であった。 やっと期待の新型エンジンが使えるようになった頃には、車体が旧式化しており、大口径主砲が搭載できなかった。 イギリス陸軍が4年間の試行錯誤の末に開発したクロムウェル巡航戦車は、結局、速くて故障が少ないだけの駄作となった。 |
<クロムウェルMk.I巡航戦車> 全長: 6.35m 全幅: 2.908m 全高: 2.489m 全備重量: 27.942t 乗員: 5名 エンジン: ロウルズロイス・ミーティア 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン 最大出力: 600hp/2,550rpm 最大速度: 64.37km/h 航続距離: 278km 武装: 43口径6ポンド戦車砲×1 (75発) 7.92mmベサ重機関銃×2 (4,950発) 装甲厚: 6〜64mm |
<クロムウェルMk.IV巡航戦車> 全長: 6.35m 全幅: 2.908m 全高: 2.489m 全備重量: 27.942t 乗員: 5名 エンジン: ロウルズロイス・ミーティア 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン 最大出力: 600hp/2,550rpm 最大速度: 51.5km/h 航続距離: 278km 武装: 37.5口径75mm戦車砲×1 (64発) 7.92mmベサ重機関銃×2 (4,950発) 装甲厚: 8〜76mm |
<参考文献> ・「PANZER2005年9月号 対決シリーズ イタリア P40重戦車 vs イギリス クロムウェル巡航戦車」 白石光 著 アルゴノート社 ・「PANZER2002年11月号 ラム vs クロムウェル巡航戦車」 白石光 著 アルゴノート社 ・「世界の戦車 1915〜1945」 ピーター・チェンバレン/クリス・エリス 共著 大日本絵画 ・「世界の戦車(1) 第1次〜第2次世界大戦編」 デルタ出版 ・「第2次大戦 イギリス・アメリカ軍戦車」 デルタ出版 ・「戦車名鑑 1939〜45」 コーエー |