M47パットンII中戦車





アメリカ陸軍は1948年8月に、新たなコンセプトに基づいた軽、中、重各種戦車の開発計画をスタートさせた。
この内、新型中戦車にはT42の呼称が与えられ、1949年から本格的な開発がスタートした。
T42中戦車は当初の計画では、M46パットン中戦車の車体をベースとして各部に改良を加えたものに、新型の50口径90mm戦車砲T119(後にM36として制式化)を備える新型砲塔を搭載することになっていた。

T42中戦車の砲塔は、M46中戦車と同じく防弾鋼の鋳造製であったが、避弾傾始を考慮して前部が窄められた形状になり、その分減少した砲塔内容積を補うため、砲塔後部にバスルを設けて弾薬収容スペースに供された。
このあたりは、同時期に開発が進められたT41軽戦車(後のM41ウォーカー・ブルドッグ軽戦車)とコンセプトを一にしている。

T42中戦車の最大の特徴は、主砲の命中精度を向上させるため、従来のスタジア・メトリック式測遠機に代えて、M12ステレオ式測遠機(基線長1,645mm)が採用されたことであった。
これは、第2次世界大戦末期にドイツ陸軍がパンター中戦車用に試作していたものを参考に開発されたもので、砲塔の左右側面前部に測距レンズを収める張り出しを設けて、その中に砲塔を横切る形で装備されていた。

ステレオ式測遠機は、スタジア・メトリック式測遠機に比べて構造が複雑だったが、スタジア・メトリック式測遠機が遠距離になると測定精度が著しく低下するのに対し、ステレオ式測遠機は遠距離においても正確に距離を測定することが可能であった。
折りしも1950年6月25日に朝鮮戦争が勃発したため、T42中戦車は早急な実戦化が求められることになった。

このため、M46中戦車の車体にT42中戦車の砲塔を搭載した暫定型の戦車を製作することになり、当初、M46E1の呼称が与えられたが、すぐに改めて、M47中戦車として制式化された。
愛称については、M46中戦車と同じ「ジェネラル・パットン」とされた。
1950年11月7日、アメリカ陸軍は従来の戦車分類に用いていた軽、中、重といったカテゴリーを改め、主砲による分類に変更した。

これに従ってM47中戦車も、90mm砲戦車M47と呼称が変化している。
M47戦車の車体は、車体前部の傾斜角が変更されたり、上部支持輪が片側5組から3組に減らされるなど一部に変化が見られるものの、基本的にはM46戦車と大差無かった。
パワーパックについては、カンタネントル社製のAV-1790-5B V型12気筒空冷ガソリン・エンジン(出力810hp)と、アリスン社製のCD-850-4クロスドライブ式変速機(前進2段/後進1段)の組み合わせに変更されていた。

M47戦車は試験において、主砲の射撃による振動で新機構のステレオ式測遠機に狂いが生じるという問題点が判明したが、朝鮮戦争に投入するために早急な実戦化が求められたため、問題を解決できないまま1951年4月からデトロイト戦車工廠で生産が開始された。
しかし、実際にM47戦車の部隊配備が開始されたのは1952年になってからで、結局、朝鮮戦争には間に合わなかった。

こうした問題はあったものの、M47戦車は1953年までにデトロイト戦車工廠とアメリカン・ロウカモウティヴ社で合計8,576両(8,676両という説も)が生産され、さらに発展型として、M48A3戦車とM60戦車の機関系や各種コンポーネントを流用したM47M戦車が開発されたが、結局制式化には至らずに終わっている。
なお、M47戦車の主砲には当初、砲身先端に円筒形の砲口制退機が装着されていたが、後期生産車では、M48戦車と同じT字形の爆風変向機に変更されている。

すぐに1952年から、後継のM48戦車が量産に入ったため、M47戦車は早々にアメリカ陸軍から退役しており、退役後は西ドイツ、フランスなどのNATO同盟国や、韓国、台湾などのアジア諸国への供与が行われた。
M47戦車は、ステレオ式測遠機などの新機軸を盛り込んだ意欲的な戦車であったが、朝鮮戦争の影響で開発期間を十分に取れなかったために不具合が多発し、決して成功作とはいえなかった。
しかし、本車を装備した国は17カ国を数え、この意味では成功したといえるかも知れない。


<M47中戦車>

全長:    8.509m
車体長:   6.358m
全幅:    3.513m
全高:    3.327m
全備重量: 46.176t
乗員:    5名
エンジン:  カンタネントルAV-1790-5B 4ストロークV型12気筒空冷ガソリン
最大出力: 810hp/2,800rpm
最大速度: 48.28km/h
航続距離: 129km
武装:    50口径90mmライフル砲M36×1 (71発)
        12.7mm重機関銃M2×1 (1,700発)
        7.62mm機関銃M1919A4E1×2 (11,150発)
装甲厚:   12.7〜114.3mm


<参考文献>

・「PANZER2003年9月号 アメリカ軍 M46/47中戦車」 城島健二 著  アルゴノート社
・「PANZER2004年10月号 M48パットン戦車シリーズ」 白石光 著  アルゴノート社
・「M26/M46パーシング戦車 1943〜1953」 スティーヴン・ザロガ 著  大日本絵画
・「世界の戦車(2) 第2次世界大戦後〜現代編」  デルタ出版
・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著  グランプリ出版
・「世界の戦車・装甲車」 竹内昭 著  学習研究社
・「戦車名鑑 1946〜2002 現用編」  コーエー


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